水泳のコーチが練習ボイコットした話

水泳のコーチがボイコットした 実話

ある県のスポーツクラブで起きた、ちょっとした事件でした。

セントラルやコナミといった大手スポーツクラブではありませんでしたが、県内では知らない人はいないのではないか、というぐらいコーチ陣が優秀で、選手を何人もジュニアオリンピック(JO)に排出している有名なスイミングクラブでした。

そのスイミングクラブではスイミングスクールの他に大会へ出場する選手を育てる「選手育成クラス」がありました。

選手育成クラスはスイミングスクールに通う子達の中からコーチが声をかけて集められたい選抜クラスのようなものです。

選手育成クラスのXコーチは水泳経験者ではありませんでしたが、非常に勉強熱心で、数字やデータを元に結果を出すとても優秀なコーチでした。

このクラスにAさんという女の子がいました。

Aさんは選手育成クラスに選ばれたとはいえ、はじめからむちゃくちゃ速いわけではありませんでしたが、真面目で、練習に強く、とても努力家な子でした。

Aさんは毎日の練習とXコーチの指導力もあり、アジア大会へ出るまでに成長しました。

それと同時に代表を率いる他クラブのZコーチのいるクラブでの練習も増えてきました。

Xコーチはこれまで大事に育ててきて、アジア大会にまで出るまでに成長したAさんの指導ができなくなり、Aさんがいなくなった選手育成クラスへの指導の熱も冷めていきました。

そしてついに、練習に来なくなってしまったのです。

もちろんスイミングクラブの社員ですから、クラブ内にはいるわけです。

練習メニューだけ渡して、子供たちが自主的に練習をする日々が続きます。

ただそれではいけないと、他の選手育成クラスの選手たちは立ち上がり、コーチ室へ直談判に行きます。

『コーチ、Aさんがいなくなったからって、私たちの面倒を見ないのはおかしいです!私たちも頑張りますから、Aさんみたいに速くなるように頑張りますから、前みたいに指導してください!』

選手育成クラスは最年長は高校2年生、下は小学生でした。

そんな子供たちが涙を浮かべて、大人に自分たちの意見を伝えます。

そこから少しずつですが、Aコーチは顔を出すようになり、また指導を続けてくれました。

そんなメンタルが弱いAコーチですが、やはり手腕は大したもので、現在でも全国レベルの選手を輩出し続け、オリンピック選手を出すこともあったようです。

水泳だけではなく、他のスポーツもですが、選手とコーチが一体となって一生懸命に取り組まないと、パフォーマンスは上がらない。練習をやらされているだけ、親に通わされているだけではダメなのです。

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